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公開講座「経腸栄養」レポート

綿谷修一先生へのご質問とご回答

Q1
実際に紹介していただいた時の口腔ケア器具でのケア方法をもっと具体的にくわしく知りたいです。ぜひ正しいやり方や効果的なやり方を導入したいので教えていただきたいです。(洗浄剤や歯ブラシなど)   〜S病院看護師Uさん〜
A1
基本的に歯磨剤は使用せず、代わりにコンクール<F>等の洗口剤を使用します。 歯ブラシは比較的弾力のあるシステマH(一般的) 歯肉炎症が強いときはシステマMを用います。 舌のケアには舌ブラシのフレッシュメイト、 口蓋部に痰が多い時はくるリーナブラシが効果的です。 余裕がある方にはさらに粘膜ケア用ブラシ、スポンジブラシを加えます。 最後に口腔洗浄用に20mlシュリンジを用意します。 コップ半分(50ml)の水を2個用意し1つにコンクール<F>を5滴入れます。 ガーゼも用意します。

@ うがいのできる場合はケア前にうがいをしていただき、口腔全体を湿らせます。 できない場合は、スポンジブラシ又は綿球にコンクール<F>を浸し、 余分な水分をガーゼで切ってから口腔清拭をかねて口腔を湿らせます。

A システマHをコンクール<F>に浸しガーゼで余分な水分を切ってから、 歯牙のブラッシングを行います(震動法でブラッシング)。 ブラシに付着した汚れをもう1つのコップの水できれいにし、 またコンクール<F>を浸すという繰り返しでケアを行います。

B 舌は舌ブラシで同様にケアを行う。

C 最後にシュリンジを用いコンクール<F>で2,3回口腔洗浄をおこなう。 又はうがいをしていただきます。

※ケア中に誤嚥の恐れがある場合はバキュームを使用しますが、 バクームがない場合はガーゼハンカチを一方の指に巻いて 次々と汚れをふき取りながらケアを行います。
Q2
口腔内ケアに消毒・殺菌剤が必須でしょうか? 当院はイソジンガーグルからお茶に切り替えたのですが。   〜無記名〜
A2
口腔ケアに使用する洗口剤は多少なりとも消毒、殺菌効果を期待して使用します。
また口臭対策も兼ねます。
お茶は成分のカテキンの抗菌、解毒作用を期待します。
洗口剤の味、臭いが気になる方はお茶でもかまいません。
終末期では特にこの気配りが必要かと思います。
Q3
口腔ケアは洗口剤を使用したほうが良いのでしょうか? 水道水のほうが良いと思っていました。自浄作用が低下するということはないのでしょうか?   〜無記名〜
A3
エビデンスもありますので、可及的に洗口剤を使用します。
自浄作用とは唾液分泌による汚れや細菌の除去・緩衝作用、食物咀嚼による食物線維による機械的な除去作用を意味します。
ブラッシング自体が唾液分泌を促します。
洗口剤と唾液分泌は相間関係が少ないと思います。
Q4
カテキン口腔ケアについて、お茶スプレーをつかっているということですが、 濃度などありましたら、教えてください。
また、行うタイミングや行うスタッフなどもあれば教えてください。   〜N病院 栄養課 Kさん〜
A4
お茶のカテキンの効果を期待した口腔ケアでは、煎茶をティスプーン1杯(約2g)湯100mlの割合で使用し、一煎目を飲料とし、ニ煎目を口腔ケア用に使用します。 熱湯で入れたほうがカテキンの溶出量は多くなります。
ケア用の温度は体温ぐらいがウイルスと結合し、感染力を抑えてより効果的です。 行うタイミングは食後、1日一回なら就寝前がよいと思います。
スタッフはどなたでも。
Q5
口腔にMRSA(+)や真菌(+)の場合の除菌法おしえてください。  〜B病院 透析室 Gさん〜
A5
通常の口腔ケアと同様に行いますが、洗口剤に広い抗菌スペクトルを持つイソジンガールがよいと思われます。
ブラッシングと口腔洗浄あるいはうがいを行います。
ただ殺菌効果持続時間が短く、30分くらいから効果が薄れ、また有効時間4時間というデータもありますので、最低でも1日3回できれば4〜6回のケアが望まれます。
Q6
唇に圧痕(残存歯があるため)がひどく粘膜をやぶり、硬くなってきています。
訪問歯科で残存歯 54¬ 「12   「2 の歯の長さ1/2 、患者さまは胃ろう、開口状態、乾燥あり、オーラルバランス使用、発言なし。
歯科医師に  「2 を削ってもらおうと思っています。先生ならどうされますか?  〜O病院 通所リハ Sさん〜
A6
最も確実なのは歯牙の削合です。
口唇の麻痺で内転して、対合の歯牙が咬み込んでしまうのが原因ですが、 社会復帰を目指しておられる状態なら、 その他の方法として義歯に類似した床で咬合を上げ咬んでも当たらない様し その間に口唇のストレッチ等を行います。
また、口腔外から内転している口唇部を引っぱる装置で対応したりします。
Q7
意識障害のある患者様をうけもっています。植物状態で6ヶ月以上経ちますが、口腔ケアは口腔清拭をしていますが、歯ブラシを使ってブラッシングしたら少しは反応がでてきたりするのでしょうか?また、そのような症例はありますか?  〜N病院 看護師 TKさん〜
A7
6ヶ月以上経過し、意識レベルがJCSのVレベルの方は回復するのが困難と思われます。
口腔ケアは誤嚥の恐れもありますが、可及的にブラッシングを行います。
一方、急性期ではブラッシングによる意識レベルの改善はよく経験します。
Q8
口腔ガンでハレがあり閉口できない人がいます。いつも舌がかわいています。どのようなマウスケアをしたらよいですか?  〜N病院 看護師 Tさん〜
A8
口腔内腫瘍では化学療法や放射線療法の影響で、炎症と出血、 また、唾液腺への侵襲により唾液分泌低下をきたしている場合があります。
うがいが可能ならイソジンガーグル30倍希釈液やコンクール<F>で頻回に行います(食後,食間、寝る前)。
また、口腔ケアは可及的にやさしいケアにします。
ブラシは毛の柔らかいものを使用し、洗口剤の温度は体温に近くし、 ブラッシングが不可なら、スポンジブラシにコンクール<F>を含ませたもので清拭を行います。
口腔乾燥に対しては保湿対策としてオーラルバランスや スプレ--タイプのサリベート等を利用するのも有効です。
Q9
開口障害のある患者様(長期臥床状態)の口苔や舌のブラッシングはどのようにしたら良いのでしょうか?1横指分だけ開口。頬粘膜や歯面は磨けます。  〜無記名〜
A9
一横指開口できるなら、舌ブラシは入ると思いますので、トライしてみて下さい。
また、くるリーナブラシも使用可能ですので、コンクール<F>に浸して清掃してみて下さい。
どうしても不可なら、ウオータピックも利用してみてください。
Q10
咽頭ケアはどのような道具でどのような方法で行えばいいのか教えてください。  〜O病院 看護部 Aさん〜
A10
咽頭ケアは通常のケアでは敏感なため触りませんが、嚥下反射遅延で知覚低下している場合は可能です。
前口蓋弓、軟口蓋、咽頭後壁へアイスマッサージを行います。
これが咽頭清拭を兼ねます。
凍らせた綿棒に少量の水をつけるか、綿棒を氷水に浸してかるく絞り、 アイスマッサージを行います。
10回1セットとし、1日に3回ぐらい行います。
マッサージ部位を刺激後、軟口蓋が挙上し、嚥下反射が惹起したら綿棒を引いて口を閉じてもらい空嚥下してもらいます。
Q11
義歯のブラッシングをする場合、歯磨き粉などなにもつけなくて良いですか?義歯洗浄剤は毎日使ったほうが良いですか?  〜S病院 看護師 Oさん〜
A11
義歯のケアは流水下で義歯用ブラシあるいは硬めの歯ブラシで機械的に清掃します。
歯磨剤は義歯が磨耗するので使用しません。
義歯洗浄剤はカンジダ菌対策等のため使用します。
必ず、ブラシできれいにしてから浸漬して下さい。
毎日使用するのが望ましいと思います。
Q12
PEGなどで経口摂取できなくなった患者は口をあけることが困難になります。口腔内が開くようなトレーニングなどがあったら教えてください。  〜O病院 学生 Mさん〜
A12
PEG造設後は経口摂取をしなくなるので、 口腔の廃用萎縮が起こりやすくなります。
筋ストレッチや筋力増強、咬合訓練などの 口腔機能維持のトレーニングを行ったほうがよいと思います。
Q13
口腔洗浄剤の名前、使用器具の名前、公開して構わない分のみでよいですから、教えてください。  〜N病院 薬剤科 Kさん〜
A13
口腔洗口剤:
コンクール<F>0.05%グルコン酸クロルヘキシジン配合、ウエルテックKK      (場合によってはイソジンガーグルや2%重曹水やお茶)
歯ブラシ: システマHやM,システマ元気、ライオンKK
舌ブラシ: フレッシュメイト、デントケア社
痰取り: くるリーナブラシ、オーラルケア
電動はブラシ: ブラウンオーラルB電動歯ブラシ、ブラウン
スポンジブラシ: トゥースエッテ、井上アタッチメント
口腔乾燥用:
オーラルバランス、井上アタッチメント
人工唾液サリベート、帝人KK
ウエットケア、キッセイ薬品工業KK
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