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公開講座「経腸栄養」レポート

松本雄三先生へのご質問とご回答

Q1
BSCの中で、ケモ食を作成している項目があるのですが、内容について教えて下さい。(看護師)/dd>
A1
<呼名:さくら食>
理由:食札に「化学療法食」と印刷されるとご本人に不快感を与える可能性がある事、また、化学療法中であることを他の患者さまに知られたくない方もいる事 から、呼名を「さくら食」としました。名前の由来は、やわらかいイメージで、且つ、花言葉に"淡泊(あっさりとした)"とあり、提供する食事内容に比較的 近いイメージであった為、NST栄養管理委員会で決定致しました。
<食事内容>
化学療法中に悪心などの影響で食欲が低下した時に、少しでも食事を食べていただく事を目的としています。その為栄養価の提示はしていませんが概算では 1000kcal/日前後になります。匂い・品数の少ない(2−3品)、口当たりの良い食事内容です。入院中の化学療法期間は比較的短いため、1週間サイ クルの献立としました。



<一言>
化学療法中の患者さんはその日、その時間の状態によって食べられない時もあれば食べられる時もあります。本来であれば患者さんが食べたい時に食べたい物を オーダーして食事を提供するというのが理想かもしれません。しかし、当院では(殆どの施設が該当すると思いますが)現在その様なサービスを提供する事は難 しいため、今まで患者さんの希望が多かった物や意見を参考に献立を作成いたしました。余談ですが、癌研有明病院では呼名をベリー食としたそうです。患者さ んが少しでも食事をして身(実)になって欲しいという事から名付けたと聞きました。
Q2
現在、液体注入法で行っていますが、この場合の注入時間の目安は?(看護師)
A2
経食道ではボーラス投与、経胃ではボーラス投与又は持続投与、経空腸では持続投与が原則になります。
ボーラス投与では200−400ml/hrで良いとされていますが、注入速度が早すぎると下痢や胃食道逆流などの消化器症状を生じます。また胃切除後などの場合にはダンピング症候群をおこす事もあります。当院では目標内容到達後、200ml/hr前後で投与している事が多いです。
Q3
持続で液体注入していた患者さんが低血糖になります。なぜでしょうか?(看護師)
A3
・ 糖尿病でインスリンなど血糖を下げる薬を使っている場合は担当医と相談して薬の量を調整してもらうと良いと思います。
・ 糖尿病に対応した栄養剤を使用している場合は標準的な栄養剤で良いです。
・ ご存じと思いますが胃切除をしている場合、栄養剤が急に腸に入り低血糖を起こすダンピング症候群というのがあります。速度が速いとダンピング症候群を起こしやすいです。
Q4
PEGが適応になる基準について先生の考えを教えて下さい。
A4
教科書的には「消化管が機能している」「4〜6週を越える長期ENの場合、あるいは意識状態が良好、または咽頭に感染症や腫瘍などの器質的病変が存在して栄養チューブが悪影響を及ぼす場合は胃瘻の適応である」とされています。
適応となる患者さんは多くいると思いますが、本人・ご家族の意思、年齢、余命・予後、退院後の環境、など倫理的問題や危険性も考慮したうえで選択しなければならないと考えます。
Q5
当院には、NSTチームがまだありません。どういう働きかければよいでしょうか?当院の栄養士さんがなかなかチームを受け入れようとしませんし、栄養士の分野に立ち入らないでという方です。(看護師)
A5
栄養管理について院内で定期的に勉強会を開催してみてはどうでしょうか。
わかりやすい基本的な事から一つずつ学んでいく事により、興味を持つ人が増えるのではないかと思います。
NSTで有名な病院も、初めは数人で勉強会を行って徐々に広めていったと聞いています。当院では毎月1回各部署持ち回りでNSTの勉強会を行っておりますが、始めのうちはテーマを決めてフリートーク形式で行っていくとコミュニケーションを深められるかもしれません。
それから、NST関連の地方の勉強会や学会、日本静脈経腸栄養学会などに一緒に参加してみるのも良い経験になります。
Q6
誤嚥性肺炎を起こしてしまう患者さんで、どうしてもPEGをつくらざるを得ないでつくるのですが、胃瘻患者さんの受入れ施設がなくなって、退院ができなくなってしまう現実があります。自宅にも退院できないので、今後どういう方針にすればよいでしょうか?(看護師)
A6
経鼻胃管栄養で受け入れ可能な施設はあるのでしょうか?あるようでしたら無理に胃瘻を作らなくても良いと思います。誤嚥性肺炎が経鼻胃管が原因でなく、なお且つ患者さんが苦痛でなければ経鼻胃管栄養のまま受け入れ可能な施設を探しても良いのではないでしょうか。
それでも胃瘻で退院しなければならない場合はソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんのような専門の方にご相談するのも一つです。
いきなり老健などの施設ではなく療養型の病院で受け入れ可能な施設を探したり、利用可能なサービスを検索して在宅で介入継続するなど、今後の相談や情報を教えていただけます
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